作/渡辺鶴
《家族》シリーズ
ふと交わした小さな約束、新婚旅行先での買い物の約束。しかし、自分たちのことしか考えられなかった娘。大きな問題ではないにしろ、約束を果たさなかった心の痛みもなく、親の思いを察することができない若い世代。
一方、小さな約束を忘れられた心寂しい親世代…。とり残された親の感慨。時の流れなのか。何ごともなかったように、今日も過ぎてゆく。
新婚旅行に出かけた長女暁子。暁子に旅行先の上海で薬の買い物を頼んだ父。父との小さな約束。だが、暁子は自分たちの旅行のことだけを考えていた。父との約束を簡単に考え、薬を買わないまま日本に帰ってきてしまったのだ。
結婚前には住む家がなかった二人。両親の援助でやっと手に入れ、安心して新婚旅行に出かけた二人。だが、両親の気持ちをよそにさっさと新婚家庭に帰っていった二人。我がままに育ててしまったのか・・・・・・ふと、案じる母。
夜の電話。暁子が急な病で輸血が必要とのこと。夜中、急ぎ病院へ駆けつける母。残された父。守られなかった約束。
翌日、暁子の無事を知り家族たちはホッとする。二人は新居へ帰っていった。残された父と母。ここまで育った我が子の成長に親としての感慨が込み上げる。・・・・・・そしてまた、静かな秋の日が過ぎてゆく。
2010/03/18,19 | 新神戸オリエンタル劇場 | 劇団道化座創立60周年記念 No.2 |
2012/09/08 | 兵庫県立芸術文化センター |