須永克彦追悼公演 道化座昭和伝
戦後間もなく、溺愛してくれた父の突然の死。残された一人息子の新吉は、母政代との間借り生活。朝鮮動乱の特需景気に沸き立つ世の賑わいをよそに、父が残した借金返しに必死に働く母。ただ一人、母の帰りを待つ孤独な少年新吉。大人になった新吉は、母が生き抜いた嵐の時代を、今、改めて振り返る。
息子新吉の母政代への挽歌……。明治生まれの母が戦争に翻弄され40歳過ぎて子を成し女性としての喜びもつかの間、昭和26年に夫伝吉と死別。世間は、朝鮮動乱の特需景気で沸きたつ中、政代は病弱な息子新吉を女手一つで守り育てた。昭和48年秋、息子新吉は家庭を持つ。漸く世間並みの母としての落ち着きを得た政代だが、71才の春、政代の痴呆症が始まる。それからの10年、いつも笑顔の政代は子供に戻って心安まる平和な時を過ごし、昭和61年、83才で没す。
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