作/渡辺鶴 脚色/おおやかづき
道化座昭和伝
昭和に生きた母への挽歌、新たな時代への応援歌!「お祭りマンボ」「お富さん」「憧れのハワイ航路」「芸者ワルツ」昭和のメロディーに乗せて賑やかに、戦後80年を振り返ります。
戦後間もなく、溺愛してくれた父の突然の死。残された一人息子の新吉は、母政代との間借り生活。朝鮮動乱の特需景気に沸き立つ世の賑わいをよそに、父が残した借金返しに必死に働く母。ただ一人、母の帰りを待つ孤独な少年新吉。大人になった新吉は、母が生き抜いた嵐の時代を、今、改めて振り返る。
息子新吉の、母政代への挽歌……。明治生まれの母が戦争に翻弄されながらも、戦後の混乱期を懸命に生き抜く姿を描く。
朝鮮動乱の特需景気で沸きたつ中、政代は夫が残した借金を抱えながら病弱な息子新吉を女手一つで守り育てる。無事に成人し家庭を持った新吉は、老いて一人暮らしの政代を引取る。ようやく世間並みに息子たちと心安まる平和な時を過ごす政代。だが、思いもよらぬ大震災に遭遇する。
以後、政代は新吉夫婦に見守られながらも徐々に痴呆症状が進み、子どもに戻って穏やかにこの世を去る。新吉は、母が生きた嵐の時代を想いながら、次の世の在りようを思う。