原作/壷井栄「暦」 作/おおやかづき
いつの時代も変わらぬ女たちの幸せさがし。辛抱苦労を乗り越え、どこまでも愛そう!! 父を、母を、恋人を、夫を、子どもを、兄弟姉妹を、友を、隣人を、なによりも女の我が身を、そして、すべての生きとし生けるものを!!
父の三回忌に小豆島に集まった五人姉妹。神戸、広島、東京、それぞれに嫁いだ姉たち。口を開くやいなや、日々のグチばかり。姉たちの姿に結婚の夢揺らぐ妹たち。それぞれの幸せのゆくえは?
新学期が始まる朝、小学校の教師を務めるクニ子は、自ら「お花畑」と称する庭で大きく咲いた朝顔に夢中である。世事に疎く、好きな花と小学校の幼い子どもたちだけを相手に暮らすクニ子は、亡母や姉たちの姿を見るに付け、縁談を断り続けている。
家事一切をこなしながら、そんな姉を支える妹実枝は恋人恭平に想いを寄せる日々。だが自分が幸せであればあるほど、この幸福感を一生味わうことのない姉を切なく思う。
末娘である二人は、それぞれ広島、神戸、東京に嫁いだ三人の姉を招き、父親の三回忌を弔うことにした。
三回忌の当日、久々五人姉妹が集ったのを期に、実枝は姉たちに結婚を拒むクニ子を説得してもらうつもりであったが、二人の姉からは亭主や家族に対する愚痴ばかり。ただ、東京に暮らし苦労の多い姉高子だけは、実枝の思いを深くくみ取ってくれる。
あんなに愚痴っていた姉たちだが、長居させて貰うと言いつつ、皆、そそくさと帰ってしまう。末娘二人は、何気ない会話のうちに、それぞれを思いやる気持ちを吐露する。そんな二人を夕日が優しく包む。相変わらず結婚には頑なな姉クニ子だが、実枝は父母の居る天に向かって、それでも幸せを求め、恭平のもとに嫁ぐことを誓う。